電子レンジでイモの加熱し過ぎにご用心――。東京消防庁が電子レンジ火災への注意を呼び掛けている。2022年の電子レンジ火災は12月5日現在で74件と、過去最多となった昨年(65件)を上回っているためだ。食品の過熱で出火に至る例が目立ち、食材別ではサツマイモを含むイモ類がトップとなった。同庁は「サツマイモや肉まんなどの食材は長時間加熱し過ぎると急速に燃える危険性がある。加熱時間は長めに設定せず、適切な時間で調理を」と注意を呼び掛けている。【さつまいもニュースONLINE編集部】
「過熱」「考え違いの誤用」が8割占める
今年発生した電子レンジ火災74件のうち、大半の71件がボヤだったものの、負傷者が4人出ている。
出火の要因別は、食品などを長時間加熱し過ぎた「過熱」(44件)と、アルミ製のレトルトパックなど調理不可の金属を加熱したりした「考え違いによる使用の誤り」(17件)―の2つの要因が8割超を占める状況という。
「過熱」で火災に至った食材別では、サツマイモを含むイモ類が12件、豚まんやパスタなど冷凍食品が11件、食パンなどパン類が4件、おからなどその他の食品が11件に上った。
食材以外は6件で、タオルを加熱中に出火に至ったり、牛乳を温めていたところ庫内の油かすが焼けたりといった例が発生している。
3分→15分再加熱で出火、負傷者も
サツマイモを加熱し過ぎた出火例では、事務室で50歳代社員がサイズの異なるサツマイモ2本を700Wで3分加熱後、再度、15分加熱したところ、サイズが小さいほうのサツマイモが過熱となり出火。自動火災報知設備が鳴り、駆け付けた管理人が煙を吸い込んだことで中等症のけがを負った。
イモ類をめぐっては、「サトイモを 700Wで繰り返し加熱した」(20 歳代)や「ジャガイモを 500Wで 20 分加熱した」(60 歳代)―でも出火に至っている。繰り返し加熱することによる「過熱」が出火のリスクを高めているといえそうだ。
同庁は「取扱説明書に記載されている食材の加熱時間や食品に表示されている調理方法を確認し、正しく使用してほしい」と強調。「過熱」で出火事例がある食材として、サツマイモやジャガイモ、肉まん、油かす、パン、菓子ーを挙げている。
また、過去5年間の電子レンジ火災を年齢区分別でみると、最多を占めたのが20歳代前半(16%)が最多で、次点が80代前半(10%)と幅広い世代に分布。年齢を問わず、電子レンジ火災への注意や防火意識の向上が求められている。
「火災を防ぐために」(出典:東京消防庁)1 さつまいもや肉まんなどの食材を長時間加熱しすぎると急速に燃える危険性があ
ります。加熱時間を長めに設定せず、取扱説明書や調理方法等よく確認しましょう。
2 その場を離れず、食品の様子を見ながら加熱しましょう。
3 冷凍食品などは、必ず『袋ごとレンジ不可』など包装の表示を確認しましょう。
4 普段から電子レンジの周囲には、可燃物を置かないようにしましょう