農水省が「農業技術の基本指針」公表 サツマイモ生産の今後の対応は

農水省はこのほど、重要な農政課題に合わせた技術的対応や、今後の農業に貢献が期待される新技術についてまとめた「農業技術の基本指針」を公表した。同指針は、都道府県など関係機関が農業技術関連の企画・立案などを行う際の参考となるように毎年、各年の情勢変化を踏まえた改定を行ったかたちで公表している。サツマイモの生産を巡っても技術的対応の方向性などが盛り込まれた【さつまいもニュースONLINE編集部】

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「さらなる省力・低コスト化を推進」

12日に発表された本年の同指針によると、サツマイモの生産を巡っては、「小規模・高齢の生産者が多く、脆弱な生産構造にある」と課題に言及。

その上で「一定の生産規模を有する者の育成、一定の作業規模を有する共同利用組織づくりとこれら受託組織などへの基幹作業の委託などを積極的に推進する」と方向性を示した。

施策については「実需者などのニーズを的確に捉えた上での地域の立地条件や需要用途にあった適性品種の導入を進める」「機械化一貫体系の導入などにより省力・低コスト化を推進する」などを挙げた。

また、でん粉原料用のサツマイモの生産性向上を図るため、収穫が多く見込め、病害に強い新品種の普及に言及。畑のうねを覆うマルチと呼ばれるシートについて、微生物の働きで自然に還る「生分解性マルチ」の導入推進に触れた。

災害に備えた留意事項にも言及

災害対策技術上の基本的な留意事項についても言及。

災害などへの対策としては「優良苗の確保や活着の促進に努める」よう促したほか、挿苗期に干害が発生しやすい砂土などの土壌条件の地域では「直立植えなどを取り入れ、耕起の深さや砕土などに留意し、状況によって撒水する」ことを挙げた。

さらに、長雨・台風などでほ場が滞水した場合、地下茎が養分をたくわえて塊状になった「塊茎」が腐敗しやすくなるため「排水溝の設置などで速やかに排水する」などと対策を示した。 

災害備える保険加入を呼びかけ

また、2018年の西日本豪雨など近年の自然災害の頻発・甚大化を挙げ、「自然災害などのリスクに対しては、農業者自らが備えることが重要であるため、青色申告者には収入保険への加入を勧める」とした。