うなぎいも協同組合理事長の伊藤さん=6日、幕張メッセ
10日に閉幕した「夏のさつまいも博」。専門店だけでも24の店舗がひしめく中、記者が注目した店舗の一つが、「うなぎいもストア」。ウナギの名産地・静岡県浜松市に本拠を置く、うなぎいも協同組合による出店だ。うなぎいもという名称の理由と込められた思いについて、同組合理事長の伊藤拓馬さんに聞いた。【さつまいもニュースONLINE編集部】
夏のさつまいも博に初出店
「夏のさつまいも博への出店は今回初めてとなります。少しでも全国にうなぎいものことを知ってもらいたいです」――。6日、開幕前の準備が続いていた会場で記者の取材に応えた伊藤さんはそう語った。
うなぎいもとは伊藤さんが手がけ、普及に汗を流してきたブランド芋だ。
伊藤さんの拠点でもある浜松市は浜名湖を擁し、ウナギが全国的な知名度を誇る名産品で知られる。しかし、ウナギが多く取引される一方で、必要とされないウナギの頭や骨が多く廃棄されていることに課題を感じていたという。
そこで、ウナギの頭や骨を肥料にアップサイクルして有効活用するプロジェクトの中でうなぎいもが誕生。6次産業化で業種の垣根を越え、うなぎいもを使ったスイーツ開発など取り組みを進めてきた。
「地域全体の活性化にもきっと」
今回の夏のさつまいも博では、店舗限定で販売してきた人気商品の「うなぎいも芋モンブランソフト」を用意。冷たいソフトクリームの上に、濃厚な焼き芋ペーストをしぼり、アクセントとして上から岩塩をちりばめた。
伊藤さんを中心に同組合では、うなぎいもの認知拡大に力を入れる。最近では、動画投稿アプリで、同組合の公式キャラクター「うなも」を登場させたショート動画づくりにも取り組んでいるという。
「うなぎいものブランドが高まることによって、農家のみなさんが生産を続けていけるだけでなく、ひいては地域全体の活性化にもきっとつながるはず」。
そうした地元への思いが、うなぎいもの取り組みには注がれている。
「思い」だけでなく、うなぎいもの食味や食感も素晴らしい。そして、試食した中で目を引いたのは、「うなぎいも揚げ団子」でのアレンジだ。台湾やタイなどの軽食としてよく知られるメニューだ。外側はカリカリ、中味はもちもちの食感という「前提」を踏まえながら、コンソメ味に仕上げていた。サツマイモらしい大らかな甘さとコンソメのフレーバーが口の中で混ざり、スイーツでもありおかずでもあるという、すばらしいマリアージュを体験できた。どんなふうに味わってもらいたいか、どう個性を引き出すかにも視線が向けられていると感じた。ちなみに、そのほかには、シナモンシュガーやノーマルも選べた。

