【さつまいも博】おイモの歴史に思いをはせ 東大発の学生団体が展示


 「おいしい、でもそれだけじゃない」――。26日に最終日を迎える国内最大級のサツマイモの祭典「さつまいも博2023」。さいたまスーパーアリーナに隣接する会場の「けやきひろば」1階では、サツマイモの歴史に思いをはせる展示が行われている。食糧難の苦境に直面した戦中・戦後の人々の胃袋を満たしたサツマイモ品種の実物なども並び、サツマイモファン”必見”の展示となっている。【さつまいもニュースONLINE編集部】

 展示や解説にあたっているのは、イモ類の魅力を伝える目的で東京大学の学生を中心に活動する学生団体「IMOPROJECT (イモプロジェクト)」だ。

 ブースでは、さまざまな品種のサツマイモの実物がずらりと並ぶ。さつまいも博によると、さつまいも博と国立の研究機関「農研機構」(本部・茨城県つくば市)とのコラボで実現したという。

■個性的、希少…多彩なおイモずらり

 個性的だったり、希少だったりする品種も多く、登場していた。「ベルベッドという品種は、おイモの果肉に紫色のマーブル状の「うん」と呼ばれる模様がある―」。そう教えてくれたのは、イモプロジェクトのメンバーだ。

イモプロジェクトの展示の様子=さいたま市中央区

 スポットライトが当たりにくい、おイモも展示。サツマイモというと甘いことをまずイメージしがちだが、調理用として低糖で甘くない「オキコガネ」も紹介されていた。「食感・食味ともに良好」(農研機構)といい、コロッケなどの調理品に向くという。

 また、サツマイモの歴史を振り返る中で、戦中・戦後の日本を支えた品種も。「護国(藷)」と「沖縄100号」がそうだ。現在のサツマイモと比べると、食味などは落ちるものの、ひもじさとたたかった人々の胃袋を満たしたとされる。

 イモプロジェクトのメンバーは「サツマイモは、収穫量が多くて優秀な作物。特に日本のおイモは品種に多様性があって、奥深い。歴史も含めて、サツマイモの可能性にも思いをはせてもらえたら」と話していた。

 ブースでは、サツマイモの歴史や品種の特徴などをまとめた「さつまいも年表」や、サツマイモにちなむ農研機構の取り組みを伝えるポスター展示なども行われていた。

■おイモの背景をより知る

 イモプロジェクトの活動紹介の展示では、「おいしい、でもそれだけじゃない」との同団体が活動にかける思いを表したキャッチコピーがあった。

 まさに、そうした「おいしい」だけではない、サツマイモの歴史や価値、人々との関わりなど、おイモにまつわるさまざまな背景も知ることで、より豊かで楽しいおイモライフを送れるかもしれない。

イモプロジェクトの活動紹介の展示=同