秩父の「芋うらら」”幻”の太白芋の生スイートポテト 歴史に思い馳せ

 【レビュー】埼玉・秩父地域の芋菓子専門店「芋うらら」(秩父市番場町)で、同地域で栽培が受け継がれるサツマイモ「太白(たいはく)芋」を使った生スイートポテトに出会いました。店頭で同じく並ぶ「紫いも」「プレーン」の生スイートポテトと合わせ、食べ比べてみました。太白芋の特長でもある白いスイートポテトに地域が守るおイモの魅力が詰まっていました。【さつまいもニュースONLINE】

 埼玉県の北部から秩父地方に伸びる秩父鉄道の御花畑駅から徒歩3分ほどの番場通りに店舗を構える芋うらら。太白芋の生スイートポテトをぜひ味わいたいと立ち寄ってみました。

芋うららの店舗=埼玉県秩父市番場町

 太白芋は大正期に埼玉での育成が始まり、戦後まで食用かんしょとして、食糧難に直面した人々の胃袋を満たしてきたという歴史的なルーツがあるとされる。ただ、近年はより収量が多く栽培しやすい、さまざまな品種の登場もあり、太白芋の栽培は細り、「幻」のさつまいもと評されることも。秩父地域は、そんな太白芋を守り続けているそうです。

 太白芋の生スイートポテトに期待が膨らむところですが、まず、”標準”の生スイートポテトがどんなものなのか、プレーンを味わってみることにしました。

左から「プレーン」「太白いも」「紫いも」

 プレーンを口に運んで驚いたのが、イモの香りがとても強いことでした。編集部のメンバーからは「口に運んだ瞬間のオイモ感がすごい」「後味にイモの香りがしっかりと感じられる」ーといった声が続々と上がりました。

ダイス状のおイモがのった「プレーン」

 それもそのはず、滑らかな舌触りのスイートポテト部分だけでなく、その上に添えられたダイス状のホクホクのおイモがスイートポテトと口の中で混ざりあい、香りでも甘みでもおイモ感を引き立てていたのでした。

 続いて試食したのが、「紫いも」です。シックで高級感のある見た目で、手土産でもきっと映えるアイテムになりそうだと感じられました。

シックな見た目の「紫いも」

 食べてみた感想は、予想以上のクリーミーな味わいに驚かされた、というものでした。ただ、甘すぎずさっぱりしたところもあり、絶妙なバランスでした。温かいコーヒーや紅茶などとよく合うのではないか、といった印象です。あと、ずっしりとおイモが詰まっているような、食べ応えも感じました。

 いよいよ、太白芋を使った「太白いも」です。太白芋は実が白っぽいことで知られますが、スイートポテトでも白く、上品な雰囲気です。

太白芋を使った生スイートポテト

 期待を膨らませて味わってみると、まるで、メレンゲのクッキーのような口の中でほろほろとしていく独特の食感に驚かされました。おイモ感の強いプレーンに比べ、香りや甘みは抑えめ。見た目だけでなく、味わいまでとても上品です。

「太白いも」の生スイートポテトの断面

 さらに食べ進めると、ミルクのようなクリーミーさに惹きつけられ、クセになる味とも言えました。スイートポテトは洋菓子ですが、和のテイストを3種類の中で最も感じたのが太白いもで、日本茶と合わせてもよく合いそうに思えました。

 芋うららの生スイートポテトは、「プレーン」「紫いも」「太白いも」といずれも素材のよさを存分に生かし、おイモの個性がよく表れているように感じられました。

 太白芋の歴史にも思いを馳せつつ味わう中で、秩父路の思い出を彩る、忘れじのおイモスイーツとなりました。