収穫量、関東勢が猛追か 全国ランキングにみる「異変」

 農水省がこのほど発表した「令和3年度いも・でん粉に関する資料」によると、2021年産の収穫量が全国最多だったのは鹿児島県だった。サツマイモ発祥の地が変わらず首位を守った形だが、ここに来て、茨城県が鹿児島県に迫る収穫量で存在感をみせている。

 というのも、前年の2020年産でも鹿児島が1位、茨城が2位と順位は変わらずだったが、3万2700トンもあった両県の差が、2021年産では1400トンとなったからだ。なぜー。

 茨城県が「猛追」したとみるのは、早計だ。

 3万2700トンもの差が開いていた2020年産の収穫量は、鹿児島が21万4700トン、茨城が18万2000トンだった。一方、1400トンまで差が縮まった2021年産は、鹿児島19万600トン、茨城が18万9200トン。つまり、茨城は確かに増産しているものの、それを上回る鹿児島の落ち込みのインパクトが大きく影響しているのだ。

 鹿児島県や農水省によると、同県の収穫量の落ち込みは、2018年に九州・沖縄で確認され、現在は全国27道府県で被害が確認されている伝染病「サツマイモ基腐(もとぐされ)病」が影響しているという。最大産地・鹿児島県の収穫量の落ち込みは、この伝染病の深刻さを表しているといえる。

 全国的なイモブームが過熱する中、流通量が低下すれば、最終的に消費者に届く価格も上昇を避けられない。収穫量ランキングの異変の兆しは、生産農家の苦境に加え、イモブームに垂れ込める暗雲の存在までも示しているといえる。【さつまいもニュースONLINE編集部】

2021年産主産地収穫量ランキング
1位 鹿児島 19万600トン
2位 茨城 18万9200トン
3位 千葉 8万7400トン
4位 宮崎 7万1000トン
5位 徳島 2万7100トン
(全国合計 67万1900トン)
出典:「令和3年度いも・でん粉に関する資料」