「新鮮な果実感」自社単独育種で本格芋焼酎  国内初の試み

 焼酎大手の霧島酒造(宮崎県都城市)は14日、自社単独で品種開発したサツマイモを使った本格芋焼酎「KIRISHIMA No.8(キリシマ ナンバーエイト)」を発売した。同社によると、焼酎メーカーが自社単独でサツマイモを育種し、さらに製造・販売にこぎつけた例はなく、国内初の取り組みとみられるという。マスカットやミカンを思い起させる新鮮な果実感のある味わいを実現させたアイテムで、同日から首都圏で先行販売をスタートした。【さつまいもニュースONLINE編集部】

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14日発売された「KIRISHIMA No.8」

 14日から東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨ーの1都7県で先行販売を開始したが、同社はさつまいもニュースONLINE編集部の取材に対し、「時期は未定だが、原料の確保状況などを見極めながら(販売地域の拡大を)前向きに検討したい」とコメントした。

 キリシマナンバーエイトは、「これまでにない焼酎をつくりたい」と焼酎の酒質を左右する原料のサツマイモに着目したのが発端。2016年から独自にサツマイモの育種の研究をスタートさせたという。

 果実の香りを生み出す「モノテルペンアルコール(=MTA)」と呼ばれる成分に目を付け、約20に上る焼酎向けサツマイモ品種から、37の組み合わせで交配を実施。その中で「シモン1号」「タマアカネ」の組み合わせが有望と判明し、同社オリジナルの品種「霧島8」の開発を成功させた。

オリジナルの品種「霧島8」

 品種名や商品名にも冠している「8」は、交配を実施した37の組み合わせのうち、採用した「シモン1号」「タマアカネ」の組み合わせが8番目だったことにちなむ。

■「エレガンス酵母」で芳醇な味わいを

 キリシマナンバーエイトは、華やかな香りや、新鮮な果実を思わせる瑞々しく芳潤な味わいが大きな特長。同社の主力商品である「黒霧島」で使用する酵母に加え、独自開発した「エレガンス酵母」と呼ぶオリジナル酵母を使うことで、果実感のある味わいを実現させた。


 普段、焼酎になじみがない人にも目にとめてもらおうと、同社では初の試みとして、スタイリッシュでスリムなボトルを採用。飲み方についても、「冷やしたうえで炭酸水で割る」「洋食やチーズ、フルーツと合わせる」―などの新たな提案も行っている。

相性が良いという洋食とキリシマナンバーエイト

 同社は「キリシマナンバーエイトを8℃程度に冷やすことで炭酸が抜けづらくなり、泡とともに広がる華やかな香りと瑞々しい味わいをお楽しみいただけます。また、シャンパングラスで飲むことで、華やかな香りをより一層楽しめます」などと紹介している。

シャンパングラスでより香りが楽しめる

 価格は、税込み1155円。アルコール分は25%。内容量は490ミリリットル。