廃線の鉄道トンネルでサツマイモを熟成 地域振興へ「いろは芋」誕生


 廃線のトンネルをサツマイモの貯蔵場所として活用し、より糖度を高めた新たなブランド芋「いろは芋」がこのほど、石川県内で開発された。いずれも同県内の「志賀農業協同組合」(志賀町)と酒造会社の「宗玄酒造」(珠洲市)、ラーメンチェーンの「ハチバン」(金沢市)が異業種でスクラムを組んだ。地域の資源を生かしながら、おいしいサツマイモを提供する試みに他の地域などからも注目を集めそうだ。【さつまいもニュースONLINE編集部】

「いろは芋」

 いろは芋は、志賀農業協同組合の生産者らが丹精した「紅はるか」を使用。

 サツマイモは収穫後に一定期間、貯蔵することで糖度が高まるなどするが、その貯蔵場所として、2005年3月に廃線となった「のと鉄道」(同県穴水町)の能登線トンネルを活用したのが大きな特長だ。

貯蔵場所のトンネル内の様子

 トンネル自体は、宗玄酒造が15年ほど前にのと鉄道から取得。日本酒を熟成させる貯蔵庫として利用していたもので、今回、サツマイモにも活用を広げた形だ。

 ハチバンは販売面で協力。サツマイモ商品の開発に取り組む「おいもとレモネード」のキッチンカーで、いろは芋の冷凍焼き芋を地域の中で販売する。

 3者は異業種ながら、同じ石川県内の縁で、地域おこしにつなげたいという思いで一致。それぞれの強みを生かしながら今回の取り組みにつながったという。

■トンネルで寝かせ、糖度36度に

 トンネル内でのサツマイモの貯蔵は、2021年に実験。40日ほどの貯蔵で熟成させ、サツマイモの糖度が22度から36度まで上昇したことを確認できたという。

 いろは芋もトンネル内で40日ほど寝かせ、糖度を高めている。じっくりと加熱して焼き芋にしたのち、さらに一晩低温で熟成させることで、ネットリとした食感の甘いおイモに仕上がるという。

サツマイモの仕込み風景

 いろは芋の名称は、能登線が走っていた当時、一つ一つのトンネルを「い」「ろ」「は」「に」「ほ」「へ」「と」のいろは順で呼んでいたことにちなむ。

鉄道ファンからも熱視線?

 「能登志賀町さつまいも『いろは芋』」として2月に同県内の一部地域での限定販売をスタート。価格は、冷凍焼き芋で1キログラムで税込2千円など。販売は4月下旬までとしているが、なくなり次第終了する予定。

 廃線のトンネルというユニークな貯蔵場所で熟成させたいろは芋。現在は購入場所が限られるが、今後、販売量や売り場所が拡大していけば、全国の焼き芋ファンだけでなく、ローカル線を愛する鉄道ファンなどからの熱視線も集まるかもしれない。