京都府北部の京丹後市で、市内産の紅はるかの冷凍焼き芋を開発し、全国への発信を目指すプロジェクトが動き出している。取り組んでいるのは同市と、農業事業を展開する「三豊」(さんとよ、京丹後市峰山町)。クラウドファンディング(CF)とふるさと納税を組み合わせた「#ふるさと納税3.0」と呼ばれる仕組みを活用し、冷凍焼き芋に必要な急速冷凍庫の導入にあてる原資を寄付で募る。寄付をした人には、寄付がふるさと納税として税控除対象となるほか、開発された冷凍焼き芋が返礼品として届く。地場産品を生み出す新たな手法としても動向が注目されるプロジェクトだ。【さつまいもニュースONLINE編集部】
京丹後の新たな地場産品に
プロジェクトの名称は、「京の味覚『京都産極上紅はるか』の冷凍焼き芋 開発プロジェクト」。
第4次と呼ばれる、息の長いサツマイモブームが続く中、市内で育てられている紅はるかを新たな地場産品の一つとして育てていきたいとプロジェクトに取り組むことになったという。
開発を目指す冷凍焼き芋は、収穫後に長期熟成で甘さを引き出した地場の紅はるかを低温でじっくり焼き上げ、直後に急速冷凍する。「急速冷凍によっておいしさを逃すことなく、全国に焼き立ての味を届けられるようにする」ことを目指す。
#ふるさと納税3.0の仕組み活用
プロジェクトの肝となる急速冷凍庫の導入を巡り、#ふるさと納税3.0と呼ばれるスキームを活用する。
同スキームでは、地場産品の創出を目指す事業者や事業計画を公募し、事業に必要な資金を補助金として交付するが、その原資について、ふるさと納税制度を活用したCFで寄付を募って調達する。寄付額が目標額に達すると、補助金が交付されるなどして、事業者は事業を前に進めることができる。
今回のプロジェクトにおけるCFの目標寄付額は119万円。6月中旬現在、実際に寄せられたのは46万8千円と達成率39%となっている。募集は年末まで続ける。
寄付は税控除対象となり、返礼品も
プロジェクトを応援したい人が寄付を行った場合、寄付はふるさと納税として税控除対象となる。CFでの目標到達が前提となるが、寄付額7千円で2キロ分、同1万円で3キロ分の冷凍焼き芋が返礼品として贈られる。発送時期は「2024年1月中旬以降に順次」としている。
CFが未達だった場合は寄付を返すのではなく、そのほかの返礼品と交換可能な専用ギフト券を贈る。
京丹後市における#ふるさと納税3.0の仕組みの活用を巡っては、既に第1弾の熟成肉、第2弾のクラフトビールと全2件でいずれも目標金額を上回っている。
第3弾となる今回の冷凍焼き芋でもCFで好結果を残せるか、今後の動向に注目が集まりそうだ。