6年かけ開発した新品種の「一刻者」公募の甕オーナーにお届けへ


酒類大手の宝酒造(京都市伏見区)は4日に都内で開いたイベントで、同社の人気芋焼酎ブランド「一刻者(いっこもん)」から新たな芋を使用した一刻者をお披露目した。薫り高い紫芋と橙芋を掛け合わせ、より香り高い芋焼酎を目指した取り組みで、6年をかけて開発。同日から募集を開始した2023年度の「甕(かめ)オーナー」に「試作品」として届けられる。ブランドアンバサダーとしてイベントに登場した俳優・永瀬正敏さんも香りをテイスティングし、驚きの表情をみせた。【さつまいもニュースONLINE編集部】



さらなる香りを追求して

麹も含めて全量芋焼酎として知られる同社の「一刻者」だが、さらなる香りを追求する中で2つのイモの特性に着目した。クリーミーで甘い香りの紫芋と、フルーティーで甘い香りの橙芋だ。

「ブレンドしたら香り高くなるのでは」と考えた同社が試作してみたところ、「ブレンドではそれぞれの香りの良さが生かせなかった」。そこで、ブレンドではなく、香り高い芋焼酎を生む新たな芋をつくれないか、と視点を切り替えた。

紫芋には「アヤムラサキ」、橙芋には「タマアカネ」を使用し、掛け合わせながら新たな品種を求めていった。

開発は「数百株もの分析を経た

同日のイベントで登壇したブランド担当の佃裕之さんは「香りの成分を多く含む芋イモを選抜して、育てて、また選抜をして育てるという作業を何度も繰り返してきました。満足できる香りにたどり着くのに数百株もの分析を経て、6年もの月日を費やして開発に至った」と当時を振り返った。


登壇したブランド担当の佃さん

同社によると、新たな芋の生み出す香りは「レーズンやオレンジピールを思わせる、まるで洋菓子のようなぜいたくで濃厚な甘い香り」に仕上がっているという。

テイスティングの感想は?

永瀬さんも香りをテイスティングし「本当に洋菓子のよう。だけど、洋菓子といっても、べたべたとした(甘ったるい)感じではなく、上品な香り」と説明。「いつもの一刻者もすごいですが、比べると(新品種は)『ええっ』という香りの驚きがあって、本当にすごい」と興奮気味に話していた。



「甕オーナー」の募集を開始

新たな芋の生産量が少ないことから、同日から募集を開始した2023年度の「甕オーナー」に先行して届ける。甕オーナーになると、3度にわたって各種一刻者が配達され、今年12月を予定する1回目の配達で、新品種を使った新たな一刻者を試作品として届ける。

また、その際に新品種の愛称を提案できる愛称応募券を同封するという。

2回目の配達では、新品種を使った新たな一刻者で熟成途中の異なるバージョンも届く。

甕オーナーは同社オンラインショップから応募でき、同日から10月31日まで受け付ける。購入金額は税込み2万7500円。

新品種の名前、永瀬さんの案は

イベントでは、新たな芋の名前がまだないことから、永瀬さんにアイデアを発表してもらう一幕もあった。永瀬さんが提案したのは、「Treasure(=宝)」だった。



「おイモそのものから開発されたという経緯から(新品種は)宝物でもありますし、それに宝酒造さんでもありますので、僕の思いとしてはその両方をかけてトレジャーとしました」と永瀬さん。

英語とした点は「日本ももちろんですが、いろんな国に押し出していただきたいと思った」として、新品種の芋を使った新たな一刻者の海外普及についてもエールも送っていた。