実行委員長の石原健司さん=6日午後、幕張メッセ
国内を代表するサツマイモのイベント「さつまいも博」の夏版「夏のさつまいも博」が7日、幕張メッセ(千葉市)で開幕した。冬季と夏季をあわせ、通算9回目の開催で、千葉県内で開くのは、史上初の試み。さつまいも博を引っ張る同博実行委員長の石原健司さんにさつまいも博のいまとこれからについて聞いた。【構成・さつまいもニュースONLINE編集部】
【出店一覧あり】史上初の千葉開催「夏のさつまいも博」7日開幕へ
「私たちの思いと重なった」
――さつまいも博で史上初めての千葉開催。どのような経緯があったのでしょう。
これまで埼玉県、東京都と開催してきた中、千葉県からご提案のお話をいただいたのがきっかけとなりました。
千葉県はサツマイモの産出額全国3位の『おいもどころ』。千葉県の方々もサツマイモ産地としてブランディングに力を入れています。
『サツマイモ生産者のみなさんの檜(ひのき)舞台をつくりたい』と、さつまいも博を続けてきた私たちの思いと重なるところが多かったことが、開催地を考える上で大きな決め手の一つとなりました。
開幕前のプレスデーの様子=6日午後、幕張メッセ
サツマイモの可能性をみせる
――冬開催のさつまいも博と夏のさつまいも博のすみわけをどう考えていますか。
冬と夏は明確にコンテンツや狙いを変えています。(おおむね2月に開く)冬開催のさつまいも博は、サツマイモのシーズン真っ只中に開くこともあり、生産者や優れたサツマイモをたたえる表彰の場という位置づけがあります。
そのため、ユニークで優れたサツマイモや生産者を表彰する『日本さつまいもサミット』や、日本一の焼き芋を決める『全国やきいもグランプリ』を開いています。
一方、夏のさつまいも博はもう少しライトな位置づけで、サツマイモの可能性をみせる場だと思っています。
夏休みで若い方々にも足を運んでもらいやすい時期に開くこともあり、進化系のサツマイモスイーツや冷スイーツなど多様なサツマイモの魅力を発信しながら、間口を広げて、サツマイモファンを増やすことにつながる機会になればと考えています。
実行委員長の石原健司さん=6日午後、幕張メッセ
――全国でサツマイモをテーマにしたフードイベントや催事が開催されていますが、モノを売るだけではなく、多様なサツマイモの魅力や生産者の取り組みを知れる企画が多くあるところが、さつまいも博の個性になっていると感じます。どのように意識していますか。
サツマイモスイーツや焼き芋を食べておいしいというだけではなく、訪れた皆さんにサツマイモの価値をさらに知って、もっとサツマイモを好きになって帰ってもらいたいという思いがあります。
例えば、今回の開催地の千葉県は、江戸時代中期に徳川吉宗の側近として知られた蘭学者で、サツマイモの普及によって当時の食糧危機を救った青木昆陽さんが、サツマイモの試験栽培をしていたことでも知られるゆかりの地でもあります。
サツマイモが人々の命を救ってきたという歴史もある訳です。そこで今回の夏のさつまいも博では、青木昆陽さんの紙芝居の映像も用意して若い人たちや子どもたちに楽しんでもらおうと思っています。
「サツマイモはおいしい」というだけでなく、そうしたサツマイモの歴史や価値に触れると、もっとサツマイモが好きになってもらえるのではないかと思っています。
サツマイモと防災の組み合わせを
――最後に、さつまいも博の主催者として、今後の展望を聞かせてください。
先ほど、青木昆陽さんの話の中で、サツマイモで人々の命を救ったという歴史にふれましたが、ひょっとすると、これからの時代もいざというときにサツマイモが日本の食卓を救うようなことがあるかもしれません。
サツマイモと防災を組み合わせたコンテンツや活動についても知恵を絞っているところです。
サツマイモはおいしくて楽しく、食べると幸福度も高まる、人々に身近な農産物と考えています。さつまいも博の取り組みを通じ、サツマイモの持つ可能性や文化をさらに広げていくことに、今後さらに貢献していけたらと考えています。