廃棄予定のサツマイモの皮をアップサイクル「ろっから堂」が推せる訳

【レビュー】サツマイモの皮などを活用した米菓「ろっから堂」を購入してみました。「ばかうけ」「星たべよ」などの米菓を手がける栗山米菓(新潟市北区)が3月に発売したアイテムで、使用されている皮は実は従来の製造過程で捨てられてきたものだそう。廃棄予定の素材を活用することで新たな価値を生み出す、いわゆる「アップサイクル」の取り組みです。環境によいのは消費者としても購入して嬉しい気持ちになりますが、おいしくなくては継続しがたいものです。肝心の味の方は―。【さつまいもニュースONLINE編集部】

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五郎島金時やシルクスイートなどの皮活用

おイモは、大きさや形などが規格から外れてしまい市場に出回らないものや加工の過程で出る未利用素材を使用。具体的には、石川県金沢市の伝統野菜「加賀野菜」の一つで知られる「五郎島金時」や、「シルクスイート」などの皮を活用しているとのことです。

皮にこそ風味が宿ることを知るおイモファンにとっては、むしろおイモの風味を存分に味わえて、環境にもよいのならば一挙両得のように感じます。

ろっから堂のこだわりは外装のパッケージングから始まっていました。質感が良いなと思ったら、脱プラスチックの観点から紙製パッケージを使用しているとのこと。すべすべした触感ですが、見た目は和紙のような風合いをしていて、こだわりを感じます。

紙製パッケージを採用

中身は、1袋90グラムの5袋入り。開封すると、まず目につくのは、商品の形状が六角形をしていることです。ここにも廃棄をなくし、素材を使いつくす工夫があります。

というのは、形状をせんべいの定番の丸型ではなく、六角形を採用することで、せんべいの元生地から隙間なく型を抜くことができようにするのが狙いだそうです。

六角形にすることで生地から隙間なく型を抜くことができる

奥行きのある甘み、その秘密は

味の方はどうでしょうか。味付けは、甘めのしょうゆダレで味付けをした後、ザラメを振りかけてあり、食べ進めるほど、奥行きのある甘みを感じられます。

何より、アップサイクルの肝となっているおイモの皮が多く使われているからだと思われますが、おイモの風味が存分に感じられます。

甘めのしょうゆダレやザラメとの相性がよい

甘めのしょうゆダレやザラメとの相性もよく、おイモの風味とぶつかるどころか、繊細なバランスの上でおイモの味わいを見事に引き立てているように思います。このあたりのバランスに米菓メーカーの強いこだわりや試行錯誤の跡を感じました。

いつでもおイモの味わいを楽しめる

焼き方にも秘密があるようで、通常の米菓と異なる焼き方を採用。おイモの風味を活かしたパリッとした食感を実現するため生地をできるだけ薄くしているとのこと。薄焼きである点もおイモの風味を感じやすくしているそうです。

筆者がさらに感じたのは、おイモの風味を生かすために薄焼きにしたことが、噛む力の弱まったりしたお年寄りにもフレンドリーになっているのではないかということです(お年寄りでおイモ好きの人も多いですし…)。いつでも好きな時におイモの味わいを楽しめるのは、ありがたいことです。

また人知れず廃棄されてゆく、おイモの皮まで少しでも無駄なく、おいしくいただけることはおイモファン冥利に尽きるともいえます。サステナブルでおいしい芋活を送りたい人に十分に推せるアイテムでした。

メーカーが発表している参考価格は税別250円。カロリーは、個包装の1袋あたり67.9キロカロリー。