おいもクリエイター・えなりんさん 初めての著書「おいもだらけのレシピ」に込めた思い


サツマイモやジャガイモといったおイモに特化したレシピを発信しているクリエイターがいる。管理栄養士の資格を持ち、フードプランナーなどとして活動するえなりんさんだ。13日には、初めての著書となる「どんな食材とも相性抜群! おいもだらけのレシピ」(SDP)が発売となった。どんな思いを込めておイモのレシピづくりと向き合ってきたのか。おイモ好きになった原体験をはじめ、今回の本づくりでこだわったポイント、今後の活動についても話を聞いた。【さつまいもニュースONLINE編集部】

「おいもクリエイター」のえなりんさん、初のレシピ本発売へ


記憶に残る母親の大学芋

――おイモに特化したレシピづくりでSNSなどで大きな反響を得ていらっしゃいます。おイモは幼少のころから身近だったのでしょうか。

親にたずねると、小さいころからよく食べていたと言われています。自分でも鮮明に記憶しているのは、小学校低学年のころからはまった、母が家庭でつくる大学芋です。

特別な材料や調味料を使用するとか、そういうことはありませんが、つやつやした見た目で、一つ一つがゴロっと大きい、母ならではのメニューでした。

子供のころに、身近におイモのおいしさを知る機会があったので、どんどんおイモが好きになっていきました。


――おイモ好きからさらに転じて、写真共有アプリ「インスタグラム」でおイモのレシピを発信するようになったのはどういったいきさつがあったのでしょうか。

インスタグラムを活用し始めたのは大学2年生ごろで当時は今と違って、いわゆる家庭料理の投稿をしていました。大学で栄養学を学んでいましたので、つくった料理を他の人とも共有したいという思いからでした。

おイモに特化するようになったのは、社会人になって1~2年目のころからのことです。それまでもいろいろ投稿してきましたが、自分が一番好きなものを伝えていこうと考えるようになりました。

魅力を感じている分、思いもこもりますし、それにその魅力をまだ知らない人に伝えていくやりがいも感じられる。自分にとっては、それが、おイモでした。


サツマイモは「最強の食材」

――おイモに特化するようになり、どのような変化が現れましたか。

家庭料理をテーマに投稿していたころは、1千人ほどだったフォロワー数が、ありがたいことにしだいに増えていきました。おイモの料理やスイーツの作り方をリール動画(※)などで発信していく中、近年では1本のみで600万回以上も再生されるようなケースも出てきました。

おイモに絞った分、フォロワーの方々に何を表現しようとしているのか分かりやすく伝わるようになった、と思っています。また、投稿に対して、いろいろな方からメッセージが返信で届くようになり、思っている以上におイモの好きな人がたくさんいるんだ、と気づかされたことも発見でした。

※インスタグラムに投稿できる形態の一つで、スマートフォンを縦向きのまま視聴できる最大90秒の縦長の動画。


――食卓のメインになるようなおかずから、サラダや小鉢、スイーツまで、さまざまなアプローチでおイモのレシピを発信されています。どのようなことを心掛けて、レシピづくりと向き合っていますか。

栄養は体だけではなく、心まで満たしてくれるものだと考えているので、栄養があって、おいしく続けられるメニューのレシピを伝えていきたいと考えています。

その点、サツマイモは「最強」の食材だと思っています。

おいしいのはもちろん、体にもいい。食物繊維が豊富で腸活にいいですし、血糖値を上げにくい低GI食品としても知られます。ビタミンやミネラル、カリウムなどに富んでいて準完全栄養食ともいわれます。

さつまいもと豚肉のダブルチーズグラタン

大学芋のせ焼き芋レアチーズプリン

日常でつくりやすいレシピを

――これまでのクリエイター活動で一つの集大成にもなる初のレシピ本が発売になりました。制作にあたっては、どのようなことを考えていましたか。

2022年の秋にインスタグラムのダイレクトメッセージを介して、お話をいただいました。「夢がかなう時が来た!」と、とにかく嬉しかったです。

おイモのポテンシャルを感じてもらえるメニューで、かつ日常の中でつくりやすいレシピを伝えていきたいと考えました。

素材はスーパーなど日常の中で揃えられるものを使うこと、おイモの調理方法で新たな切り口を提案すること、気負わずにつくってもらえるように調理工程がシンプルであること、などを心掛けました。


――初の著書「どんな食材とも相性抜群! おいもだらけのレシピ」では、そのメニューをつくるのにおすすめのサツマイモの品種まで記載されています。著書でこだわった点をお聞かせください。

おイモのレシピ本なので、そのメニューごとにおすすめのおイモをスーパーなどで手に入りやすい品種から載せるようにしました。ただ、品種を変えれば料理の表情も変わるので、いろいろトライしていただきたいなとも思っています。

他にこだわったところでは、本全体を通して、編集者の皆さんと話し合ってナチュラル感を大事にさせていただきました。キッチンの身近な空間に置いて、使ってもらえもらえるようにという意図からです。

それから、既に詳しい方だけではなく、どんな人でもおイモの料理の世界に入っていけるように、おイモの品種ごとの特徴や、調理や保存方法の知識などの周辺情報も盛り込ませていただきました。

ぜひ、日常の暮らしの中で役立ててもらえたら嬉しいです。

おイモの魅力、伝え続ける

――最後に、今後の活動についてのビジョンを教えてください。

これからもおイモにこだわったレシピづくりなどを続けていきたいと思っています。今回のレシピ本の発売をきっかけに、より多くの人にリアルで対面し、共に商品開発で協力させてもらったり、実際に食べてもらう機会をつくったりとリアルなアプローチにも力を入れていきたいと思います。

サツマイモをめぐっては、全国にさまざまな産地のこだわりのおイモがあるので、そうした全国のおいしいサツマイモにもさらに目を向けていきたいです。おいしくて体にもいい、そんなサツマイモの魅力を今後も自分なりに伝え続けていきたいです。


「どんな食材とも相性抜群! おいもだらけのレシピ」

SDP刊。税込み1650円。A5判、128ページ。全国の書店や「Amazon(アマゾン)」など大手通販サイトでも販売中。


■目次・はじめに/1章 おいもがメイン/2章 おいもは副菜/3章 おいもはごちそう/4章 おいもでおつまみ/5章 おいものデザート/巻末・スペシャルコラボ企画「ぼる塾・田辺智加さん×えなりん おいもの魅力を食べつくそう!」など